愛知県一宮市、稲沢市、津島市、江南市、名古屋市と岐阜県羽島市を中心とし、国内一を誇る毛織物産地である尾州産地。木曽川の豊かな水と肥沃で温暖な濃尾平野の恩恵を受けて発達し、世界でも有数の毛織物産地と栄えてきました。そんな尾州産地の強みは、糸から織物になるまでの数多くの工程を同じ地域の中で分業・協業していることです。刈った羊毛から糸を紡ぐ紡績、糸を撚って糸をつくる撚糸、糸を染める染色、デザインをおこし生地を織る製織、織った布を加工して仕上げる整理まで工程ごとに多くの人が深く関わっています。
その技術力は世界中の名だたるブランドから賞賛され、今なお国内生産量の約8割の毛織物はこの尾州で生産されているのです。
世界中のブランドの
オーダーに応える
尾州ウールの魅力

私たちの信念は、お客様が本当にお金を払う価値がある生地の製造と販売にあります。尾州製へのこだわりや毛織物のリーディングカンパニーであることは私たちの誇りですが、国外の方がいいものができると確信すれば、世界中のネットワークを生かし海外で製造します。
近年はウールスーツやレディスコート以外に、カジュアルやアウトドアブランドでもお使いいただける生地の開発に注力しています。
これからも私たちは驚きの品質と価格をご提案します。
梳毛と紡毛
私たちが扱うウールには大きく分けて2種類の原料があり、主にスーツに使われる生地表面が繊細で滑らかな梳毛とツイードやコートに使われる空気をたくさん含み膨らんで温かみのある紡毛とがあります。
刈り取る場所によってどちらに使われるかが決まっており、繊維が長く細い、身体の上の部分の毛が梳毛となり、繊維が短く太く丈夫な、身体の下の部分の毛が紡毛となります。
梳毛と紡毛の紡績方法も大きく異なります。梳毛は繊維と繊維を平行に引き延ばすための梳く(スク・トク)工程が紡毛に比べて圧倒的に長く、そして重要です。人間の髪の毛で言い換えれば、(梳毛)ブラシで梳けば艶が出ますし、(紡毛)ウェーブヘアはボリューム感のあるスタイルになります。
人が羊を家畜化したのが1万年以上前と推定されていますが、18世紀後半にイギリスで起こった産業革命以降、原始的な手紡ぎによる糸作りから、機械化された紡毛や梳毛の紡績工場へと進化し毛織物工業は産業革命の中心的存在として大きく発展しました。
メイド・イン・尾州の本気
尾州産地では、シックでクラシカルなデザインのメンズからカラフルで洗練されたウィメンズの毛織物や化合繊織物の服地以外にも、カーテン生地などインテリア織物も手掛けています。そのどれもが世界的に有名なイタリアのビエラやプラートと引けを取らないほどに、高いクオリティを誇ります。 その尾州に工場を構える、西川毛織。
毛織物職人の技や経験が冴え渡るメイド・イン・尾州の織物こそ、西川毛織の真骨頂です。
産地を守り、人を守り、
品質を守る
近年、尾州産地では高い技術を有する職人の高齢化や後継者不足によって、これまで培った知見が伝承されず消滅してしまうという問題が顕在化しています。「大事な技術や知見を失うのは時間の問題。このままにしておけない」との思いから、稲沢市に購入した用地に新工場を建設し、ここに経糸(たていと)を整える大型の整経機を2台導入しました。
羊毛は温度や湿度に敏感に反応するうえ、種類や育った場所の違いによっても細かな違いがあります。しかも整経は生地を織る工程のなかでも極めて重要な工程で高い技術が要求されるため、この課題に対する解決が当面の課題でした。そこで独り立ちに最低10年はかかると言われるなか、経験者と未経験者を2名ずつ採用し、尾州産地の仕事を後世に伝えるための取り組みを始めました。2024年には新たに織機を6台導入し、織工場としても生産を開始しました。
産地を守ることが、そこに生きる人を守り、品質を守るーー。
西川毛織はすばらしい伝統を守りつつ、新しい発想力と行動力でこれからもお客様へのものづくりに真摯に取り組み続けています。
ウールの特徴
羊毛繊維の主要産出国オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカでは約1億
2000万頭の羊が生息し、水、空気、日光そして草に頼りながら暮らしています。ウールは一年中産出が可能な100%天然な繊維です。
100%生分解可能
ウール繊維が廃棄されると、大地に貴重な栄養をゆっくりと放出しながら、数年の間に土の中で自然に分解されます。
しわになりにくい
顕微鏡で見ると、メリノウール繊維の1本1本はバネのようにコイル状になっており、折り曲げられた後でも元の形に戻る性質を持っています。このため、ウール製の衣類はしわになりにくいのです。
暖かく涼しい
合成繊維とは対照的に、ウールは体温の変化に反応するアクティブファイバーです。そのため、寒い日には身体を暖かく、暑い日には涼しく保ってくれます。
防臭機能
合成繊維とは対照的に、ウールは湿気を吸収し、身体に残る汗の量をより少なくします。またウールは汗のにおいまで吸収し、洗濯時まで閉じ込めてくれます。
天然の伸縮性
天然の弾性により、ウール製の衣類は着用者の動きに沿って伸縮し、元の形に戻ります。そのため、ウール衣類は運動時の着用に最適です。
保湿性
ウール繊維がその構造内に水蒸気を閉じ込めゆっくり放出することで、より高い皮膚温度を保ち、冷却速度を緩めます。ウールは皮膚からより多くの熱を放出するため、暖かい環境ではウールは合成繊維に比べて2倍涼しく感じます。
天然の吸放湿性
ウールは最も吸放湿性に優れた繊維の1つです。ウール繊維は湿気を大量に吸収し、大気中に放出させることができます。
防しみ性
ウール繊維にはシミの吸着を防ぐのに役立つ天然の防護外層があります。またウールは静電気を起こしにくいため合成繊維とは違いホコリや糸くずもつきにくくなります。
UVプロテクション
メリノウールの衣類は他の繊維に比べ、日光からの保護性能が高いです。自然の力から羊を守るために何百万年もかけて進化してきた天然繊維であるメリノウールは、紫外線を吸収し、日光から守ってくれます。そのために、メリノウールはアウトドアでの活動に適した素材となっています。
素肌に優しい
メリノウール繊維は非常に細いため、より硬い従来のウール繊維よりはるかにしなやかです。そのため、メリノウールは素肌に着けても柔らかく、贅沢な素肌への優しさを感じられます。近年の研究ではアレルギーにも効果があると言われています
ウールは最も再生
リサイクルされている繊維
ウールは新品の繊維供給の内わずか1.2%しか占めていないものの、調査によればチャリティに寄付された衣類の内5%がウールであると示されています。またウールは衣類、マットレス、インテリア用品など、長持ちする新たな製品へと再生させるにあたって最も需要の多いリサイクル・テキスタイルの1つに数えられます。羊は毎年新しい羊毛を生み出すため、ウールは完全に再生可能な繊維です。
難燃性
その固有の化学構造により、ウールは天然の耐火性を持っています。そのためウールは、ホテル、航空機、病院、劇場などの公共の場において高い信頼性を得ている天然繊維です。コットンは255℃で火がつきますが、ウールは570~600℃に達するまで発火しません。ポリエステルは252~292℃、ナイロンはさらに低い160~260℃で溶けますが、ウールは決して溶けないため、多くの一般的な合成繊維のように肌に張り付きません。